相続・遺言 Q&A
遺産分割協議
| Q.1 遺産分割の協議がなかなかまとまりません。どうすればよいでしょうか? |
|---|
調停手続きでは、家庭裁判所の審判官と民間から選ばれた調停委員からなる調停委員会が話し合いに加わります。調停委員会は、相続人から事情を聞いたり、事実関係を調査して、解決方法をアドバイスします。話し合いがまとまれば、合意した内容を調停調書という書面にします。この調停調書には、確定した審判と同じ効力があります。
遺言
| Q.2 遺言の内容と異なる遺産分割をしても良いのでしょうか。 |
|---|
しかし、相続人全員の合意があれば、遺言の内容と異なる遺産分割をすることも可能です。ただし、遺言執行者が選任されている場合は、遺言執行者の同意を得る必要があります。
借金の方が多い
| Q.3 亡くなった父に多額の借金があることが分かりました。どうすればよいでしょうか ? |
|---|
資産がわからない
| Q.4 父親が急死しました。不動産や金融資産など、どんな資産があるのかわかりません。 |
|---|
次に預貯金については、通帳などから取引している金融機関を特定して、相続の開始を伝えて名寄せを依頼、相続開始時点での残高証明書を取得します。通帳に未記帳のものがあれば、記帳をすませます。また、定期預については既経過利息の計算を依頼しておくことも必要です
有価証券については証券会社や信託銀行などからの通知書、又は株主総会案内などから該当の金融機関や株式の発行元企業に照会して保有状況を確認します。
不動産の名義が祖父のまま
| Q.5 父親が亡くなりましたが、不動産の名義が祖父のままになっていました。 |
|---|
1つは祖父の相続人があなたのお父様1人であった場合、中間の相続登記を省略して祖父から直接、現在の相続人であるあなたとお母様へ所有権移転登記をすることができます。
しかし、祖父の相続人がお父様だけでなくご兄弟(叔父)がいたとします。その場合はまず、祖父の遺産の相続人である叔父、亡くなったお父様の相続人であるお母様とあなたで遺産分割協議を行い、その後さらにお父様の遺産分についてお母様とあなたで遺産分割協議を行うという2段階の手続きが必要です。。
いずれにしても、時間がたつほど手続きが複雑になりますから、速やかに遺産分割協議を済ませ、所有権の移転登記を行ってください。
葬儀代は?
| Q.6 葬儀代は相続財産から差し引くことができますか? |
|---|
一方、差し引くことができないものもあります。初七日や四十九日法会費用、香典返戻費用などです。
なお、相続の開始時点で所有していた墓地は非課税ですが、亡くなったあとに購入した場合の費用や借入れ料は相続財産から差し引くことはできません。
また、これらの費用の支払に備え、相続の開始前に亡くなった方の口座からまとまったお金を引き出して現金で持っていることがありますが、これは相続財産に含めなければなりません。
株の評価額は?
| Q.7 複数の上場企業の株式を相続しました。株式の評価額はどのように計算しますか? |
|---|
(1) 上場している証券取引所が公表している当日の最終価格
(2) その付の毎日の最終価格の月平均
(3) 前月の毎日の最終価格の月平均額
(4) 前々月の毎日の最終価格の月平均額 のうち、いずれか一番低い価格によることとなっています。
なお、その株式が国内の2つ以上の証券取引所に上場している場合は、適用する証券取引所を納税者が選択できます。また、所有する銘柄が複数あるときは銘柄ごとに証券取引所を選択できます。
タンス株が見つからない
| Q.8 父親の銀行口座に配当金が振り込まれているので、株式を保有していたのはわかりますが、 家中探しても株券が見つかりません。どうしたらよいでしょうか? |
|---|
逆に電子化の手続きをしていない株券が家から出てきた場合には注意が必要です。電子化されていない株券は株式の発行企業が設定した金融機関の特別口座で管理されています。
兄が音信不通
| Q.9 父親が死亡しました。兄がいますが10年以上前から連絡がつきません。 遺産分割の手続きはどうしたらいいのでしょうか? |
|---|
10年以上前から連絡がつかないということですが、まずはお兄さんの生死を確認する必要があります。戸籍謄本や住民票等の調査を行うことにより、通常は生死の確認ができます。
そして、お兄さんが生きているのであれば、お兄さんと連絡とをった上で手続きを進める必要があります。
まれに戸籍謄本等を調査しても、生死がわからないという場合もあります。このような場合はお兄さんについて、家庭裁判所に失踪宣告の申立を行います。そして家庭裁判所が失踪宣告を行うと、あなたのお兄さんは死亡したものとみなされますので、遺産分割の手続きを行うことができます。
孫に相続させたい
| Q.10 息子に相続させると、息子が死んだとき血のつながらない息子の嫁に渡ってしまうのがいやです。 息子ではなく孫に相続させたいのですが。 |
|---|
ただし、あなたがお孫さんに遺贈を行うとしても、相続人(あなたの子どもなど)には遺留分といって、相続財産の一定割合に対する権利があります。
また、孫を養子縁組した場合、相続税は2割増しになりますので、その点は注意が必要です。
面倒を見てきた叔母
| Q.11 近所に住む叔母の面倒をずっと見ています。私は法定相続人ではありませんが、 叔母が亡くなった場合に、遺産を受け取ることはできますか? |
|---|
ただし、あなたが叔母さんに遺言を書いてもらうことができれば、叔母さんの財産の遺贈を受けることができます。
あなたは叔母さんの面倒をずっと見てきたということですから、叔母さんとよく話し合えば、おばさんがそのような遺言書を書いてくれる可能性は高いのではないかと思います。
放蕩の弟に相続放棄をさせたい
| Q.12 私は長男ですが、次男の弟は放蕩息子で父親は手を焼いています。相続時にもめないように、 今のうちに多少の現金を渡して相続放棄の念書を書かせたいと父親が言っていますが、 そんなことは可能でしょうか? |
|---|
結論から申し上げますと、このような方法は認められていません。したがって、仮にあなたの弟さんにそのような念書を書かせたとしても法的な効力はなく、あなたの弟さんはあなたの父親の相続について権利を主張することができます。
このような事前の放棄を認めると、生前に被相続人(この場合は父親)から圧力がかかり、相続人が相続放棄をせざるを得なくなることがあるためといわれています。裁判所においても、生前の相続放棄は明確に否定されています。
もし、あなたの父親があなたの弟さんに財産をあげたくないのであれば、あなたの弟さん以外に財産を遺贈したり、贈与等を行ったりする方法が考えられます。
ただ、弟さんには一定割合の遺留分がありますので、それを侵すことはできません。なお、相続の開始前(父親の死亡前)に家庭裁判所の許可を得れば、遺留分を放棄させることができます。そのためには、あなたの弟さんが、父親の住所地の家庭裁判所に、自身の遺留分の放棄許可の審判を申し立てることが必要です。
先妻とその子ども
| Q.13 亡くなった父親は、私の母親とは再婚で初婚時に子どもをもうけています。 2度の結婚でそれぞれ2人ずつ、計4人の子どもがいます。この4人への遺産分割は等分ですか? また、先妻は生存していますが、法定相続人になるのでしょうか? |
|---|
このように、配偶者と子が相続人である場合、配偶者と子はそれぞれ2分の1の割合で財産を相続します。子が複数いるときは、原則として各自の相続分は同じです。したがって4人の子の遺産分割は等分となります。先妻の子であろうと、後妻の子であろうと平等です。
先妻は生きていても、離婚した元夫の相続に関して相続分はありませんので、相続の対象にはなりません。
愛人と隠し子がいた
| Q.14 亡くなった父親には愛人がいて子どもまでいました。 彼女たちにも財産を分けなくてはいけないのでしょうか? |
|---|
もっとも、その子は非嫡出子(婚姻関係のない男女の間に生まれた子ども)にあたりますので、法定相続分は嫡出子の2分の1となります。
つまり、父親の子どものうち、婚姻関係にある奥さんとの間の子どもが1000万円相続できる場合でも、認知された愛人の子どもは、その半分の500万円しか相続できないことになります。
一方、父親が愛人の子を認知していなければ、親子関係は発生しておらず、その子は相続の対象になりません。
慰謝料
| Q.15 離婚を経て再婚しましたが、前妻にまだ慰謝料を支払っています。 私が亡くなったら、支払はどうなりますか? |
|---|
現在の妻としては、気持ちよくないでしょうから生前に何らかの形で一括弁済する方法を考えてみてはいかがでしょうか?
また、このケースの場合は入籍していますが、子どもに気兼ねするなどして事実婚である場合は相続人ではなく、相続分が発生しませんので、慰謝料の支払義務もありません。前の配偶者との金銭債務関係が複雑な相手と同居する場合には、実質的な遺産価値を計算した上で入籍しない、という事実婚の形態も今後は増えるかもしれません。
遺族年金
| Q.16 つい最近、男性と同居を始めたばかりです。 もし男性がなくなったら、遺族年金は必ず受け取れるのでしょうか? |
|---|
厚生年金保険法では、被相続人の費用で生計が維持されている者は遺族年金の受給資格があります。ですから、事実婚であっても働いていなかったり収入が少なかったりして、被相続人の扶養家族となっている状態が必要でしょう。
被相続人がいなくても独りで生計が成り立っている場合には(ご自身で働いて、充分な収入を得ているなど)、遺族年金の受給資格が認められない可能性が高いと思います。
扶養家族である期間も、一定程度有意な期間が証明できなければ、受給資格を得ることは難しいと思います。
なお、遺産相続の場合は話が逆で、仮に入籍の翌日に被相続人が死亡したとしても、その配偶者には法定相続分が認められます。
義母の遺産
| Q.17 父と再婚した義母に育てられたため父の死後も面倒を見ていますが、義母の遺産は相続できますか? |
|---|
ひとつの方法は、義母に、あなたに遺産の全額を遺贈する遺言を書いてもらうことです。この場合、遺留分を主張できる法定相続人がいるときは、遺産の一部がその人のものになることもあります。
もうひとつの方法としては、義母と養子縁組をすることです。養子縁組により、子として「第一順位」の相続人の地位が得られますので、遺産の全額を相続することが可能になります。
再婚の場合は、夫婦の双方に前妻(夫)との間にできた子がいるケースがあります。この場合、例えば夫が死亡すると、妻と、夫の子は相続人ですが、妻の子はたとえ一緒に生活をしていても、相続人ではありませんから、相続できないことになります。双方がおのおの養子縁組をすることによって解決する方法も考えられます。

司法書士 西川浩介

