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Vol.75 正しい言葉を学ぶ

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Vol.75 正しい言葉を学ぶ

皆さんは、人からの言葉で傷ついたり、自分の一言で誰かを悲しませてしまったという経験はありませんか。落ち着いている時には穏やかな言葉、怒っている時には荒々しい言葉が出る様に、言葉は心と密接に繋がっています。今回は、これから言葉を習得する子供達に接する際、家族で心がけたい事や、美しい言葉、思いやりのある言葉を身につけるにはどうすれば良いかを考えたいと思います。

去る十月二十二日、文部科学省は、小学生の暴力行為の発生件数について、平成二十六年度に約一万千件だったものが、令和元年度には四万三千件を超え、僅か五年で約四倍に増加しているという調査結果を発表しました。

ある専門家は、暴力に走る子供は、言葉で自分の気持ちを伝えるトレーニングが不足しており「バカ」などの乱暴な言葉を使うのも語彙が少ない為に感情をうまく表現することが出来ないからだと分析しています。

言葉は、自分の心を表現する為の大切な手段であり、幼い頃より親から学んでいきます。幼児は、親に話しかけられたり、親が誰かと話す姿をそばで見たりする事で真似をして学び、使う様になります。そして、親の言葉使いや話し方の癖、状況によって使う言葉の選び方まで、そっくりそのまま身につけていきます。「ありがとう」「いただきます」を言わない親に育てられれば、子供も言わない事が当たり前になり、間違った事をした時に「ごめんなさい」と言っていれば、子供は間違ったら謝る事が正しい行動だと学ぶのです。だからこそ、親には日頃から使う言葉に気をつけて、子供と向き合っていく事が求められます。しかし、言葉を繕えば行動が正されるかといえば、そうとは限りません。根本的な解決の為には、言葉を発し行動を引き起こす「心」を正していく事が大切です。

例えば子供が「死んじゃえ!」と言った場合「本当に死んじゃっていいの?」と本心を聞く事が大切です。そこで子供が「おもちゃを取られて嫌だった」と言えば、「その気持ちを伝える為に他の言い方を一緒に考えよう」などと応じる事が出来ます。
 仏教の教えに「心は全てに先立ち、全ては心よりなる。心こそ、全ての主人である」と説かれている様に、子供だけではなく、親にとっても最も整えるべきは「心」です。
 先ずは、親自身が感謝の心で正しい言葉遣いをし、手本となって子供を導いていきましょう。