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Vol.77 家族の在り方

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Vol.77 家族の在り方

昨今の新型コロナウイルス感染症の蔓延により「ステイホーム」「リモートワーク」という言葉がよく聞かれるようになりました。
家で過ごす時間が増えた事で、家庭での会話も増え家族の絆が深まったという声があります。しかし、その一方で、家庭内暴力の被害相談が過去最多となり、内閣府は外出自粛にその一因があるのではないかと発表しています。

家族の繋がり、家庭という空間は、今まで以上に重要になっています。この様な時代だからこそ、今一度、家族の在り方について考えたいと思います。
家族の在り方を考える上で、注目すべきは親と子の関係です。
家族は親子を基礎として成り立っているからです。親と子は、意見が衝突して喧嘩をする事もあります。子供は大きくなると反抗期を迎え、時には親に向かって「生んでくれと言った覚えは無い」などと心無い言葉を発したりしてしまいます。

しかし、そんな時期は通常、一過性のものであり、互いの信頼関係が無くなったり、親子関係が揺らぐものではありません。ところが、最近では、親が育児放棄をして、子供を殺したり、子供が親を憎んで殺してしまったりする痛ましい事件が増えています。

厚生労働省によると、児童相談所が対応した児童虐待件数が、平成二年には年間千件程度だったものが、令和元年には約十九万四千件にまで膨れ上がっている事が分かりました。また、法務省によると家庭内暴力の検挙件数が、増加傾向にあります。まさに親が子を傷つけ、子が親を傷つける世相が見て取れます。     

この状況を作り出した原因の多くは親にあります。親が人を傷つけたり命を粗末にしたりしていれば、それを見た子供も同じ事を行います。                 
子供は、目にした事、体験した事を学んでそれを自分の行動規範にするからです。つまり、子供の姿こそが、親の姿と家庭環境を表していると言えます。さらなる家庭崩壊を食い止める為には、親自身が正しく行動し、正しく子供と向き合っていく必要があります。

父と母あってこその自分である事を思うと、その父と母を大切にする事は当たり前の事です。親子だから何をしても許される訳では無く、親子であれば言葉を交わさずとも互いを理解できる訳でもありません。

むしろ、最も近しい関係にあるからこそ、普段から思いやりの心で接する事が大切です。親は子を理解する為に、子は親を理解する為に会話を重ね、心を通わせ合いましょう。
互いの存在を尊重するからこそ、そこに揺るぎない親子の絆が生まれます。共に支え合って生きていこうではありませんか。