余命宣告から始まった話し合い
現社長は3代目、創業者から長男へそしてその妹になる長女へ社長がバトンタッチされてきました。 創業者は3年近く療養生活を送っていましたが、医師から余命数か月と言い渡された段階で、兄と妹は迫りくる相続についての話し合いをはじめました。
始まった話し合いは?
実は始まった話し合いは遺産分割の話し合いではありません。
何のための相続なのか。創業者は何を望んでいたか。そんなことを話しあい初めたのでした。
そもそも兄と妹は前社長、現社長の関係ですが、、経営方針も異なり、家族の交流もあまりなく、妹は遺産分割で対立することをとても懸念していました。
今後の会社経営のためにも、対立を避け、相続では調和をとることが重要な課題と考えていました。
創業者は何を望んでいたか
相続で何を実現することが創業者の思いにつながるかをファミリーミーティングで深堀しました。
創業者は事業の発展を第一としていました。従業員を家族のように思ってきました。
現金を多額に遺しましたが、現金は事業に活かすためのものと考え、家族にもその現金を自由にさせることがありませんでした。
このような創業者の想いを二人で確認し、その結果実現したことは…
- 株は、現社長(長女)の長男につなげるために、長女がすべてを取得することとしました。
- 現金は、私的な財産ととらえるのではなく、事業のための資金ととらえ、現社長がほぼすべて相続することとなりました。
- 自宅については、次世代のことを考え、長女がすべて取得することとなりました。
法律で定められた相続分はでは2分の1づつの権利です。ところが実現した相続は9対1の割合です。
しかも亡くなってから8ヶ月という短い話し合いでした。
あれから2年、2人の間がらは以前より協力体制が作られています。