遺言を書くにはまだ早い?
私ごとですが、私は現在六十六歳です。まだ会計事務所で現役で働いています。夫は七十二才。二年前脳出血を起こし現役は引退しましたが、復帰後それなりに仕事を続けています。
私は税理士の仕事で相続を多く扱っており、遺言の重要性はよくわかっています。財産が多くても少なくても、もめる相続が多いこともよく経験しています。それでも、まだ自分や夫が遺言を書く気にはなれない、というのが正直な気持ちです。まだまだ早いという思いもありますが、実は遺言には限界を感じているからです。
遺言があれば遺言が絶対ですから、それ以上に財産でもめることはありません。しかし、その内容をどのように受け止め、相続人が今後どのような良い関係を作ることができるかはわかりません。
遺言よりもよいもの?
実は先日夫婦で、子供たちに贈るための動画を収録しました。
遺言は、そもそも財産について、その分割の仕方、相続の行方を記載するものです。
収録した動画は、子守さんというプロのインタビュアーが、自分たちの今までのことをうまく引き出してくれました。まるで芸能人のゲストのように気持ちよく話すことができ、今まで話したことのないようなことも聞き出してもらえたのは、驚きでした。
遺言だけでは不充分
この動画収録を通じて感じたことは、自分で言うのも気後れしますが、子供たちはこれをみたら、きっと親の想いを大事にしてくれるに違いない、ということです。また、生きてきて感じたことを自分なりに振り返ることができて、これからの終活になっていくと感じました。
遺言以上に必要なことは、親からのメッセージが子供に伝わることではないかと思います。子供に残す動画作り、ぜひお勧めです。
(参考)メモリースタジオアンテリジャンまで
遺言制度は大きく変わっています
昨年から、自筆証書遺言の方式が緩和されるようになっています。日本の超高齢化の進展に対して、遺言の利用を促進し、相続をめぐる紛争を防止する、といった観点から、政府は自筆証書遺言の方式緩和に踏み切りました。
これまで自筆証書遺言は、添付する財産目録も含めて、全文を自分で書く必要がありました。法的要件として銀行の口座番号も不動産の住所や地番も、一字一句間違わぬように記載することが求められていたため、遺言者の負担が重く、自筆証書遺言が敬遠されることがあったのです。
その遺言者の負担を軽減するため、遺言書に添付する相続財産目録については、パソコンで作成したものや、不動産の登記事項証明書・固定資産税の納税通知書・預貯金通帳や残高証明書のコピーなどでもよくなっています。